丸みを帯びたほっぺた、細い目、小さな口が特徴です。
これは、「おかめ」と「おたふく」を見分けるポイントです。
本記事では、「おかめ」と「おたふく」の特徴を詳しく掘り下げていきます。
それぞれの特徴や縁起の良さ、さらにはそれらがもたらすご利益についても詳細に解説します。
「おかめ」と「おたふく」の見分け方とは？
「おかめ」と「おたふく」は、見た目が似ており、日本の伝統的なお面として親しまれています。
以下のような特徴があります：
- 柔らかく丸い頬
- 目が細い
- 低い位置の小さな丸い鼻
- 小さな頭に垂れた髪
しかし、「おかめ」と「おたふく」は、起源や背景において異なる物語を持っています。
それぞれの由来にはいくつかの説があり、どの説が最も正確であるかは一概には言えません。
これから、これらの特徴と違いを詳しく解説しますので、ご覧ください。
「おかめ」の起源と特徴
「おかめ」は、鎌倉時代に起源を持ち、夫を守るために自ら命を絶った女性がモデルとされています。
一方で、室町時代の巫女から来ているとも言われています。
頬の高い部分が「瓶（かめ）」に似ていることから、この名前がつけられました。
江戸時代には、里神楽のお面として広く使われ、「ひょっとこ」と一緒に見ることも多く、「阿亀」や「お亀」などの表記もあります。
「おたふく」の起源と特徴
「おたふく」は、江戸時代の京都で玉の輿に乗った女性がモデルとされています。
狂言で使用される「乙御前（おとごぜ）」のお面が元となり、「乙」の音が変わり「おたふく」と呼ばれるようになったと言われています。
丸くふくよかな頬が魚の「河豚（ふぐ）」を連想させるためこの名前がつきました。
また、「叶福助（かのうふくすけ）」という夫がいるとされ、しばしばペアで扱われます。
「阿多福」や「お多福」とも表記されることがあります。
これら「おかめ」と「おたふく」は、似た外観を持つお面でありながら、その由来や名称には顕著な違いがあり、それぞれの背景には深い興味を引く要素があります。
「おかめ」と「おたふく」はどちらが縁起が良い？
実は、「おかめ」と「おたふく」はどちらも縁起物や守り神として親しまれています。
これは、それぞれがモデルとなった女性の伝説に基づいています。
両者は、ふっくらとした頬、小さな鼻、細い目を持つ女性として表現され、これらの特徴が今もなお受け継がれています。
おかめのモデルとそのご利益について
「おかめ」は、京都で著名な大工である「長井飛騨守高次」の妻、「阿亀」とされています。
あるとき、高次が大規模な寺院の建築棟梁を務めることになりましたが、大切な柱の一本を誤って短く切ってしまいます。
この問題を解決するために、阿亀は他の柱も同じ長さに切り揃えるべきだと提案します。
このアイデアのおかげで高次はピンチを乗り切り、建築を無事に完成させます。
しかし、鎌倉時代においては女性が意見をすることが許されていなかったため、阿亀は夫を守るために最終的に自ら命を絶ちます。
この話は後世に伝えられ、「おかめ」は夫婦円満の守り神とされるようになりました。
そのため、京都の千本釈迦堂には彼女を祀る「おかめ塚」が建てられています。
また、関西地方では建築完了時に「おかめ」の面を施した「扇御幣」を飾る風習があります。
扇御幣は建築の安全、家内安全、繁栄を祈願する縁起物です。
このように、「おかめ」は夫婦円満や家内安全、建築の祈願などの象徴として大切にされています。
「おたふく」の起源とご利益について
江戸時代に京都で質素に生活していた女性「お福」の話です。
ある日、彼女は偶然「叶福助」という男性と出会い、彼に一目惚れされます。
叶福助は裕福な呉服商でした。
二人は結婚し、幸せな生活を送ったと言われています。
この物語は、シンデレラのような感動的な話として広まりました。
「お福」が幸運を掴んだことから、「お多福」という名前が付けられました。
そのため、京都では特に「おたふく」と「福助」のペアの人形や置物が飾られ、これらは「商売繁盛」「夫婦円満」「招福万来」の象徴として人々に愛されています。
まとめ
「おかめ」と「おたふく」は、日本に古くからあるお面で、外見は似ています。
ただし、これらはそれぞれ異なる起源と背後にある物語を持ち、モデルとされた女性やその時代も異なります。
現代では、この二つが同じものとして扱われることもあり、どちらも縁起物として家庭の平和や幸運を象徴すると広く認識されています。
温かみのある表情とちょっとしたコミカルさで親しまれ、日本文化においてポジティブなキャラクターとして愛されている「おかめ」と「おたふく」です。
