ラグビーを観戦する際、審判の声に注目するファンも多いでしょう。
特にテレビ観戦の場合、審判のマイクがその発言をクリアに伝えるため、より耳に留まりやすいです。
スクラムが行われる時には、審判の力強い掛け声が特に印象的です。
この掛け声が英語であることに気付く人もいますが、その具体的な意味や目的が分からないと感じる方も多いのではないでしょうか。
そこで、スクラムの際に審判がどのような掛け声を使用し、それがどんな意味を持つのかを解説します。
スクラムの際に審判が発する掛け声の意味とは？
ここではラグビーのスクラム中の審判の指示に焦点を当てます。
スクラムの構成が始まるとき、審判は以下のシーケンスでコマンドを出します：
1. 「クラウチ」（Crouch）
2. 「バインド」（Bind）
3. 「セット」（Set）
これらの用語は直訳すると、「クラウチ」は「しゃがむ」、「バインド」は「繋げる」、「セット」は「位置を定める」となります。
しかし、ラグビーの文脈ではこれらの言葉には具体的なアクションが伴います。
「クラウチ」で選手は腰を下ろし、「バインド」で相手をしっかりと掴み、「セット」でポジションを固定し、押し合いを開始します。
具体的には、審判が「クラウチ」とコールすると、フロントローの選手たちは腰を下げ、相手と向き合います。
次に「バインド」のコマンドで、各選手は相手選手のジャージや体をしっかりと掴みます。
そして、「セット」の指示で、フロントローが互いに衝突し、スクラムが始まります。
こうしてスクラムは段階を追って組み立てられます。このプロセスは、プレイの安全性を保つために非常に重要です。
スクラムでは、体重が100kgを超える選手たちが全力で押し合うため、正しく組まれていないと怪我のリスクが高まります。
そのため、適切なトレーニングを受けた選手のみがフロントローに配置されます。
これらの審判の指示は、スクラムの安全かつ効率的な実施を確保するために設計されています。
スクラムの掛け声がこの形式になったのは最近のことであり、それ以前には異なる形式で行われていました。
その歴史についても注目してみましょう。
ラグビーのスクラムにおける掛け声の変化
ラグビーのスクラムにおける審判の指示用語がどのように進化してきたかを解説します。
ラグビーでは他のスポーツと比べて頻繁にルールが改訂されることがあり、これは試合をより魅力的にするためと、選手の安全を確保するためです。
スクラムでの掛け声も、時代に応じて変化しています。
最初に使われていた「クラウチ」「アンド、ホールド」「エンゲージ」というフレーズでは、「アンドホールド」で選手は「クラウチ」の姿勢を保持し、最終的に「エンゲージ」の掛け声でプレイが開始されました。
2007年には、これらの指示が「クラウチ」「タッチ」「ポーズ」「エンゲージ」に変更されました。
ここで「アンドホールド」は省略され、「タッチ」と「ポーズ」が新たに追加されました。
新しい「タッチ」では、プロップ選手が相手の肩に手を置くことで、エンゲージ時に適切な距離を保つように設計されました。
これにより、エンゲージ時の衝撃が軽減されると期待されました。
2012年には、「クラウチ」「タッチ」「セット」という形にさらに改訂され、「ポーズ」が削除されました。
これによりゲームの進行がスピードアップし、より簡潔なコミュニケーションが可能になりました。
さらに、2013/2014シーズンからは現在の「クラウチ」「バインド」「セット」という指示が導入されました。
「バインド」が追加されたのは、エンゲージ時の衝撃をさらに軽減するためです。
これにより、フロントロー同士が密接に接触する前に適切な位置取りを確保し、安全性を高める効果がありました。
このように、スクラムの掛け声は時代とともに進化しており、試合の安全性と効率性を向上させるための重要な要素となっています。
以前のスクラムでは、選手同士の距離がかなり広く、体への負担が非常に大きかったと考えられます。
また、現在のように立ち合いの前に十分な時間を取ることなく、味方との連携がきちんと取れているか不確かな状態でスクラムを組むこともありました。
現代のスクラムでは、フロントローの選手たちが互いに近づいており、審判の指示も適切な間隔を持って行われているため、安全性が向上していることが明らかです。
このようにスクラムの進化を見ると、ルール改定がどれだけ選手の安全を考慮して行われているかがわかります。
まとめ
ラグビーのスクラム時における審判の掛け声とその意味、そしてその歴史について解説しました。
ラグビーではスクラムだけでなく、多くのルールが時とともに改正され、進化しています。
スクラム時に審判が発する号令は、ラグビーの試合をテレビで観戦するときによく耳にするものです。
これらの掛け声の意味を理解すると、ラグビーの観戦がもっと楽しくなるでしょう。
