「針供養(はりくよう)」という伝統行事をご存知ですか?
ニュースや話の中で聞いたことがあるかもしれません。
この行事では何をするのでしょうか?そして、いつ、どこで行われているのでしょうか?
今回は、針供養について詳しくご紹介します。
針供養の意味とは?
針供養は、長年使って折れたり錆びたりして使えなくなった縫い針を神社や寺に納め、感謝と裁縫技術の向上を祈る行事です。
地域ごとにやり方は異なりますが、一般的には豆腐やこんにゃくなどの柔らかいものに針を刺して供養します。
なぜ豆腐に針を刺すのか?
針供養で豆腐やこんにゃくに針を刺すのは、長い間硬い布を刺して働いた針を、最後は柔らかいもので休ませ、成仏してもらうという意味があります。
2024年の針供養はいつ?
針供養は、日本の伝統行事「事八日(ことようか)」に行われます。
事八日とは旧暦の12月8日と2月8日のことです。
この日は神事や祭事の日で、慎みを持って過ごし、針仕事を休む日とされています。
そのため、針供養もこの日に行われるようになりました。
12月8日は「事始め(ことはじめ)」と呼ばれ、新たなことを始める日、2月8日は「事納め(ことおさめ)」と呼ばれ、物事を終える日とされています。
場合によっては逆に、2月8日を「事始め」、12月8日を「事納め」とすることもあります。
これは、新年に年神様(としがみさま)を迎える準備を始める日が12月8日であり、春に農作業を始める日が2月8日という違いによります。
年神様は、毎年お正月に各家庭に訪れ、豊作や幸せをもたらす神様です。
新年に向けて年神様を迎える準備を始める場合、12月8日が「事始め」となり、お正月が終わって後片付けが完了するのが2月8日の「事納め」となります。
一方、お正月が終わって日常生活に戻り、農作業を開始する場合は、2月8日が「事始め」となり、その年の農作業を終えるのが12月8日の「事納め」となります。
針供養は、現在でも旧暦の日付に従い、新暦の12月8日と2月8日に行われています。
2024年の針供養の日程は以下の通りです:
2024年12月8日(日)
2024年2月8日(土)
針供養の方法
針供養は、一般的には供養する針を寺社に持っていきますが、自宅で行うことも可能です。
以下に家庭での針供養の方法を紹介します。
準備するもの
折れたり曲がったり錆びたりした針
豆腐やこんにゃくなどの柔らかいもの
白紙(半紙など)
針供養の手順
- 豆腐やこんにゃくを皿に乗せます。
- これまで硬い布地を刺してきた針に感謝の気持ちを込めて、豆腐やこんにゃくに刺して供養します。
- 家に神棚や仏壇がある場合、針を刺した豆腐やこんにゃくを供えて感謝の気持ちを捧げましょう。
- 供養が終わったら、針を刺したままの豆腐やこんにゃくを土に埋めます。針は時間とともに錆びて土に還ります。
※ 土に埋める際は、自宅の庭で人が通らない場所や家庭菜園に使わない場所を選びましょう。
- 土に埋められない場合は、針を深く刺した豆腐やこんにゃくを白紙(半紙)に包んで処分します。
※ 針の処分方法は自治体によって異なるため、お住まいの地域での処分方法を確認してください。
さらに、裁縫道具を扱う店舗によっては、針供養の時期に限らず、一年中針の回収箱を設置しているところもあります。
回収された針は、針供養を行っている寺社に送られ、供養されるそうです。
針供養はいつ、どこで行われるの?
針供養の日程は地域によって異なり、2月8日と12月8日の両日か、どちらか一方で開催されます。
関東地方では2月8日、関西地方では12月8日に行われることが多いです。
直接寺社に行けない場合、針を郵送で受け付けてくれる寺社もありますので、事前に確認してください。
開催日に合わせて、いくつかの寺社をご紹介します。
2月8日と12月8日の両日に開催される寺社
2月8日に開催される寺社
※荏柄天神社は観光協会のホームページにとびます
12月8日に開催される寺社
※幡枝八幡宮は京都の観光ガイドページにとびます。
※松本城内の寺社は松本市の公式観光情報サイトにとびます。
他にも、福岡県福岡市 大濠公園周辺の各寺社(複数の寺社)でもおこなわれています。
特に、京都の虚空蔵法輪寺の針供養は、皇室の針を供養するために始められ、平安時代から続いていると言われています。
現在も12月8日の針供養では、皇室から預かった針を供養しています。
※寺社によって針供養の法要の時間が異なるため、事前に確認してください。
まとめ
かつては家庭での重要な仕事だった針仕事も、現代では家庭で行われることが少なくなりました。
そのため、針供養について知らない人も増えたかもしれません。しかし、ファッションや和装・洋装の分野で活動する人たちの間では、日々の感謝と技術向上を願ってこの行事が続けられています。
針供養のように、日常的に使用している物に感謝の気持ちを持つことは、他の物に対しても感謝の心を向ける良い機会になるでしょう。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。