今回のテーマは「えびす講」です。
多くの方が一度は耳にしたことがあるかもしれませんが、「えびす講」は恵比寿天を祀る家庭にとって身近な行事です。
この記事では、えびす講の由来やお供物、そして2024年の開催日について詳しく説明します。
「えびす講」とは?
「えびす講」は、恵比寿天を崇拝する庶民の信仰行事の一つです。
この行事は、旧暦の10月20日に行われ、豊作や大漁、商売繁盛を祈願し、1年間の無事を感謝するために恵比寿天を祀るものです。
現代では、旧暦に基づいて10月から11月にかけて、各神社や家庭で行われています。
「えびす講」における「講」とは?
もともと、「えびす講」の「講」とは、仏教の「法会(ほうえ)」に相当するものです。
つまり、もとは経典の講義や仏の徳を賛美し合う集まりや行事を指していました。
後に、「講」という言葉は単に集まりだけでなく、団体や活動を指す意味にも広がっていきました。
そのため、かつては「えびす講」のほかにも「地蔵講」や「伊勢講」「富士講」など、さまざまな「講」が存在しました。
こうして、「えびす講」とは、その中の一つであり、恵比寿天を祀る行事を指す言葉となったのです。
恵比寿天は七福神の一員?
実は、七福神の中で唯一日本の神様です。
左手には鯛を持ち、右手には釣竿を持ち、立派な福耳とにっこりした顔が特徴で、古くから日本で愛されている神様です。
主なご利益は「商売繁盛」ですが、恵比寿天は元々海にゆかりがあり、豊漁や海上の安全を祈る神様とされています。
後には大黒天とともに祀られるようになり、商売繁盛や豊かな収穫をもたらす神様としても知られるようになりました。
恵比寿天は神様会議に参加しない?
恵比寿天は「神様会議」には出席しないとされています。
さらに、恵比寿天は「留守神様」とも呼ばれています。
この特性がえびす講の由来に関連しています。
10月の神無月、八百万の神々は出雲へ会議に出かけます。
そのため、「神無月」という名前がついていますが、恵比寿天だけはこの会議には出かけません。
そのために「留守神様」と呼ばれるのです。
この伝承から、神無月に恵比寿天が残り、人々を守るという風習が生まれ、それが「えびす講」として知られるようになったのです。
2024年のえびす講はいつ?
10月のカレンダーによると、えびす講は旧暦の神無月の10月20日に行われていました。
現代では、各地域や神社などで10月から11月の間に行われています。
たとえば、新暦の10月20日に実施する場合もありますし、旧暦の10月20日を新暦の日付に変換して行う場合や、土日や祝日に合わせて日程を調整する場合もあります。
開催場所や地域によって日付が異なるため、参加を考えている方は、必ず事前に日程を確認してから訪れるようにしましょう。
えびす講のお供物は?
えびす講では、主に以下のものがお供え物として用意されます。
・旬の果物や野菜
・お頭付きの魚
・米
・酒
・餅
また、家庭内で行う場合には、けんちん汁やあんころ餅なども供えられます。
地域によっては、生きた鮒を水槽に入れて供え、えびす講の後に放して罪滅ぼしをする風習もあります。
さらに、商売繁盛を祈願して、そろばんや小銭、財布などもお供えすることがあります。
お供物を持参する際には、「万々両で買受けます」と元気よく声を添える地域もあるようです。
えびす講では、地域ごとに異なる作法やお供物があるようですね。
えびす講と十日戎の違いは?
関西では馴染みが深く、有名な十日戎(とおかえびす)です。
えびす講が神無月の10月に行われるのに対し、十日戎は正月の1月に開催されます。
主に大阪を中心にした西日本地域で、毎年1月9日から11日の3日間行われます。
十日戎の特徴は、商売繁盛を祈願し、配られた福笹に縁起物の飾りをつけて福娘に託すことです。
十日戎では「商売繁盛!笹持ってこーい!」という声があちこちで聞かれ、活気に満ちています。
特に商業が盛んな大阪では、「正月以上に賑わう」とされ、商売をしている人々にとって大変人気のあるお祭りです。
秋のえびす講と新年の十日戎、どちらも恵比寿天を祀る昔からの重要な行事ですね。
まとめ
えびす講は、旧暦の神無月である10月20日に行われる行事です。この日は、豊作や大漁、商売繁盛を祈り、1年間の無事に感謝の気持ちを捧げて恵比寿天を祀ります。
現代では、10月から11月の間に行われ、地域や開催場所によって日程が異なります。
お供え物も地域によって異なりますが、一般的には旬の果物や野菜、酒、餅などが用意されます。